「X-MENシリーズを一気見したいけど、作品数が多すぎてどこから手をつければいいかわからない」——20世紀フォックス版X-MENに挑戦しようとして、そんな壁にぶつかった経験はないだろうか。
結論から言うと、X-MENシリーズは公開順と作中の時系列が大きくズレているうえ、途中で過去改変によってタイムラインそのものが書き換わるという、ハリウッド映画でも屈指のややこしい構造を持つシリーズだ。だからこそ、観る前に順番を把握しておく価値がある。
この記事でわかることは次の3点だ。
- X-MEN全作品の「公開順」と「時系列順」を一覧比較した表
- 初心者が挫折せずに楽しめるおすすめ視聴ルート
- 2024年公開『デッドプール&ウルヴァリン』でX-MENユニバースがMCUに合流した経緯
X-MENシリーズはなぜ「見る順番」で迷うのか
X-MENシリーズは2000年の第1作『X-MEN』から2024年の『デッドプール&ウルヴァリン』まで、実に24年にわたって作り続けられてきた長寿シリーズだ。この間に単純な続編だけでなく、若き日のプロフェッサーXとマグニートーを描く「プリクエル3部作」、ウルヴァリン単独の外伝、そしてR指定コメディの『デッドプール』シリーズまでが同じ世界観に組み込まれている。
さらにややこしいのが、2014年公開の『X-MEN:フューチャー&パスト』だ。この作品でウルヴァリンが過去に送り込まれ、歴史そのものを改変してしまう。その結果、2000年公開のオリジナル3部作で描かれた出来事の一部が「なかったこと」に近い扱いになり、公開順に観ても、時系列順に観ても、どこかで矛盾にぶつかる構造になってしまった。
加えて配給・制作の都合上、公開年と作中の設定年代が一致しない作品も多い。「新しい年に公開されたのに、作中では一番古い時代を描いている」というケースが当たり前に起こるのが、このシリーズの厄介なところだ。
【比較表】X-MENシリーズ 公開順 vs 時系列順
まずは全14作品を「公開順」と「作中の時系列順(設定年代順)」で並べた一覧表を見てほしい。同じ行にある作品同士が対応しているわけではなく、あくまで両方の並び方を横並びで確認するための表だ。
| 順番 | 公開順(作品名/公開年) | 時系列順(作品名/作中の主な設定年代) |
|---|---|---|
| 1 | X-MEN(2000年) | X-MEN:ファースト・ジェネレーション(1962年) |
| 2 | X-MEN2(2003年) | X-MEN:フューチャー&パスト 前半パート(1973年) |
| 3 | X-MEN:ファイナルディシジョン(2006年) | X-MEN:アポカリプス(1983年) |
| 4 | ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009年) | X-MEN:ダーク・フェニックス(1992年) |
| 5 | X-MEN:ファースト・ジェネレーション(2011年) | デッドプール(現代/2010年代) |
| 6 | ウルヴァリン:SAMURAI(2013年) | デッドプール2(現代/2010年代) |
| 7 | X-MEN:フューチャー&パスト(2014年) | ニュー・ミュータント(現代/2010年代) |
| 8 | デッドプール(2016年) | X-MEN(2000年) |
| 9 | X-MEN:アポカリプス(2016年) | X-MEN2(2003年) |
| 10 | LOGAN/ローガン(2017年) | X-MEN:ファイナルディシジョン(2006年) |
| 11 | デッドプール2(2018年) | ウルヴァリン:SAMURAI(2013年) |
| 12 | X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年) | X-MEN:フューチャー&パスト 後半パート(2023年) |
| 13 | ニュー・ミュータント(2020年) | LOGAN/ローガン(2029年) |
| 14 | デッドプール&ウルヴァリン(2024年) | ウルヴァリン:X-MEN ZERO(1845年〜1979年、独立した時間軸として扱われることが多い) |
表を見てわかるとおり、公開順では1位だった『X-MEN』が、時系列順では8番目まで後退する。逆に公開順では5番目の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』が、時系列順ではトップに立つ。しかも『X-MEN:フューチャー&パスト』は1973年と2023年という2つの時代を同時に描く特殊な作品なので、時系列表では2箇所に登場する形になる。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』にいたっては、他の作品との整合性が公式にもはっきりしておらず、「いつ観ても大きな支障はない」というのが実情に近い。
初心者におすすめの視聴ルート
王道ルート:まずは公開順で観る
初めてX-MENシリーズに触れるなら、素直に公開順で観るのが最もストレスが少ない。理由はシンプルで、公開順は「制作側が観客に情報を提示した順番」そのものだからだ。誰が誰なのか、能力の設定はどうなっているのかといった基礎知識が、視聴者の理解度に合わせて段階的に説明されていく。伏線や演出の効果も、公開順で観たときに最大限機能するように作られている。
世界観の深掘り重視なら時系列順
すでにキャラクターの相関図が頭に入っている、あるいは2周目以降で「ミュータント史」を通しで味わいたいという場合は、時系列順での視聴が向いている。プロフェッサーXとマグニートーの友情から決別までを、1962年から順を追って追体験できるのは時系列順ならではの楽しみ方だ。ただし前述のとおりタイムライン改変の影響で細部の矛盾は避けられないため、「多少のズレは気にしない」という前提で臨むのがコツになる。
忙しい人向け:厳選5作ダイジェストルート
全14作品を観る時間がどうしても取れない場合は、次の5作品に絞る手もある。
- X-MEN:ファースト・ジェネレーション(2011年)——シリーズの原点となる関係性を描くプリクエル
- X-MEN:フューチャー&パスト(2014年)——新旧キャストが共演し、タイムラインを統合する要の1本
- LOGAN/ローガン(2017年)——ウルヴァリンというキャラクターの集大成
- デッドプール(2016年)——同じ世界観のR指定コメディ路線を体感できる1本
- デッドプール&ウルヴァリン(2024年)——X-MENユニバースの現時点での到達点
この5本を押さえておけば、シリーズ全体の勘所と、後述するMCU合流の意味合いまで無理なく理解できる。
なぜ公開順と時系列がここまでズレてしまったのか
そもそもの発端は、2011年の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』が「若き日のプロフェッサーXとマグニートー」を描くプリクエルとして企画されたことにある。これによって、2000年公開のオリジナル3部作より何十年も前の時代を舞台にした作品が、シリーズの後半になってから世に出るというねじれが生まれた。
決定打となったのが2014年の『X-MEN:フューチャー&パスト』だ。荒廃した近未来からウルヴァリンの精神を1973年の自分自身に送り込み、歴史の分岐点そのものを変えてしまうという大胆な脚本が採用された。この改変によって、オリジナル3部作で起きた出来事の一部は「別の未来」として扱われることになり、以降の新作は基本的に「改変後の世界線」を舞台に作られていく。つまりシリーズを律儀に時系列で追いかけようとすると、途中で世界線そのものが切り替わってしまうのだ。
さらに、20世紀フォックスというマーベル・スタジオとは別会社が制作していたことも影響している。同じマーベル作品でありながら、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のような統一されたクリエイティブ管理下になかったため、作品ごとに設定の整合性を取る優先度がそれほど高くなかったと考えられる。結果として、ファンの間でも「公式の完全な時系列表」は長らく存在しない状態が続いていた。
『デッドプール&ウルヴァリン』でX-MENユニバースがMCUに合流した経緯
ここまで見てきたX-MENユニバースは、2024年7月公開の『デッドプール&ウルヴァリン』によって、大きな転換点を迎える。20世紀フォックスで20年以上にわたって積み上げられてきたミュータントの物語が、正式にMCUへ組み込まれたのだ。
統合の背景には、2019年に成立したウォルト・ディズニー・カンパニーによる20世紀フォックス買収がある。この買収によって、X-MENやデッドプールをはじめとするフォックス版マーベルキャラクターの映像化権が、マーベル・スタジオを傘下に持つディズニー側に移った。ただし版権が移っただけで即座に映画が作られたわけではなく、「これまでのフォックス版の物語をどう扱うか」という難題が残されていた。特にデッドプールは、主演のライアン・レイノルズが続投できるか、そしてR指定という過激な作風のままMCUに参加できるかという2つの不確定要素を抱えていた。
その答えを出したのが『デッドプール&ウルヴァリン』だ。本作はマルチバース(並行世界)という設定を活用し、フォックス版のデッドプールとウルヴァリンが「別の宇宙からやってきたキャラクター」としてMCUの本流に合流するという形を取った。これにより、過去のX-MEN作品やデッドプール作品を無理に上書き・否定することなく、それらを「一つの並行宇宙で起きた出来事」として尊重したまま、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンをMCUの物語に迎え入れることに成功している。マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギも、本作におけるX-MENの合流について「これはまだ始まりに過ぎない」という趣旨のコメントを残しており、今後のMCU作品でミュータントというキャラクター群がより本格的に描かれていくことが示唆されている。
初心者の視点で重要なのは、『デッドプール&ウルヴァリン』を楽しむために20世紀フォックス版のX-MEN全作品を予習しておく必要は必ずしもないという点だ。ただし、フォックス版シリーズをある程度知っていればいるほど、随所に散りばめられたカメオ出演や小ネタの意味が深く理解できる作りになっている。前述の「厳選5作ダイジェストルート」を押さえたうえで本作に臨むと、単なるお祭り映画としてだけでなく、20年以上続いたひとつの時代の終わりと、新しい時代の始まりを見届ける物語として楽しめるはずだ。
まとめ
X-MENシリーズは公開順と時系列順が大きく食い違う、複雑な構造を持つシリーズだ。最後に要点を振り返っておこう。
- 公開順は2000年の『X-MEN』から始まり、時系列順は1962年の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』から始まるなど、両者は大きくズレている
- 『X-MEN:フューチャー&パスト』によるタイムライン改変が、シリーズの時系列を複雑にしている最大の要因
- 初めて観るなら「公開順」、世界観を深掘りしたいなら「時系列順」、時間がなければ「厳選5作ダイジェストルート」がおすすめ
- 2024年公開の『デッドプール&ウルヴァリン』により、20世紀フォックス版X-MENユニバースは正式にMCUへ合流した
- マルチバース設定によって過去作を否定せずに世界観を統合した点が、この合流劇の巧みなポイント
作品数が多いぶん、どのルートを選んでも一定の見応えがあるのがX-MENシリーズの魅力でもある。まずは気負わず、自分に合った順番で1本目を再生してみてほしい。


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