「スパイダーマンって、ピーター・パーカーじゃないの?」——映画『スパイダーバース』やPS5のゲームで黒い衣装のスパイダーマンを見て、そう思った人は多いはずです。
結論から言うと、マイルズ・モラレスはピーター・パーカーとは別人の「2代目スパイダーマン」です。ブルックリン出身の10代の少年で、壁を登る・糸を出すといった基本能力はピーターと同じ。そのうえで、触れた相手を痺れさせる生体電気「ヴェノムブラスト」と、姿を消す「カモフラージュ」というマイルズだけの2大能力を持っています。映画・ゲーム・原作コミックすべてで主役級の扱いを受けている、現行マーベルの最重要キャラのひとりです。
この記事でわかること
- マイルズ・モラレスがどういう経緯で生まれたキャラクターなのか
- ピーター・パーカーと何が同じで、何が違うのか(比較表で整理)
- 映画・ゲーム・コミックのどれから触れるのが正解か
マイルズ・モラレスとは?2代目スパイダーマンの基本プロフィール
マイルズ・モラレスは、ニューヨーク・ブルックリン出身の10代の少年です。黒人の父親とプエルトリコ系の母親のあいだに生まれたバイレイシャルという設定で、スペイン語と英語が飛び交う家庭で育っています。この「多文化な家庭のごく普通の学生」という出自こそが、白人青年ピーター・パーカーとの一番わかりやすい違いです。
登場したのは2011年8月。ブライアン・マイケル・ベンディスとサラ・ピチェッリの手により、『アルティメット・フォールアウト』第4号で初お目見えしました。
誕生の経緯:ピーターの死のあとに現れた後継者
マイルズが生まれた舞台は、本来のマーベル世界とは別の平行世界「アルティメット・ユニバース」です。この世界ではピーター・パーカーが戦いのなかで命を落としており、「スパイダーマンがいなくなった街に、次のスパイダーマンとして現れたのがマイルズ」という構図でデビューしました。
能力の獲得の仕方はピーターとよく似ています。遺伝子操作されたクモに噛まれ、自分の意思とは無関係に超人的な力が発現してしまう。ただしマイルズの場合、力を得た直後は「自分がスパイダーマンをやっていいのか」と長く迷い続けます。能力よりも先に、責任を受け入れるかどうかで悩む——ここがマイルズというキャラクターの芯になっている部分です。
いまはピーターと同じ世界にいる
「別世界のキャラなら、ピーターとは会えないのでは?」と思うかもしれませんが、その心配は不要です。大規模なクロスオーバー作品を経て、マイルズは現在メインのマーベル・ユニバースに移籍しており、ピーターと同じニューヨークで活動しています。若手ヒーローチーム「チャンピオンズ」の中心メンバーでもあり、アベンジャーズ級の事件にも顔を出す立場になりました。
マイルズの能力|ヴェノムブラストとカモフラージュが最大の武器
マイルズの能力は「ピーターの能力一式+独自の2つ」と覚えるのが最短です。壁面吸着も怪力も危機察知も持ったうえで、電撃と透明化が上乗せされている——シンプルに言えばそういうキャラクターです。
ヴェノムブラスト(生体電気)
マイルズを象徴するのが、体内で生み出した生体電気を叩き込むヴェノムブラストです。触れた相手を麻痺させて行動不能にする能力で、スーツの手袋越しでも作用します。名前に「ヴェノム」と付いていますが、あの黒いシンビオートのヴェノムとは無関係。ここは混同されやすいので注意してください。
威力を最大まで高めたメガヴェノムブラストは、全身から電撃を放って周囲一帯をまとめて吹き飛ばす切り札的な技です。パンチが通じない硬い相手や、囲まれた状況をひっくり返す一撃として描かれます。
カモフラージュ(透明化)
もうひとつがカモフラージュ。着ている服ごと周囲の景色に溶け込み、実質的に見えなくなる能力です。ピーターがステルスをやろうとすると「物陰に隠れて糸で引っ張り上げる」しかありませんが、マイルズは真正面からでも姿を消せます。
ただし常時発動できるわけではなく、集中を切らせば解けてしまう一時的なもの。この「使いどころを選ぶ」性質が、後述するゲーム版でのステルスプレイの気持ちよさにつながっています。
ピーターと共通する基本能力
- 超人的な筋力・敏捷性・反射神経
- 壁や天井に張り付く吸着能力
- 危険を事前に察知するスパイダーセンス
- ウェブシューターによる糸の射出とウェブスイング
ウェブシューターは体から出るのではなく、ピーター同様に装置を使うタイプです。スパイダーマンの能力そのものをもっと詳しく知りたい人は、スパイダーマンの能力まとめもあわせてどうぞ。
ピーター・パーカーとの違いを比較表で整理
違いは「固有能力」「立場」「戦い方の思想」の3層に分けると理解が早いです。まずは一覧で押さえましょう。
| 比較項目 | マイルズ・モラレス | ピーター・パーカー |
|---|---|---|
| 立ち位置 | 2代目スパイダーマン | 初代スパイダーマン |
| 出身・背景 | ブルックリン出身。アフリカ系×プエルトリコ系の家庭 | クイーンズ出身。叔父夫婦のもとで育つ |
| ヴェノムブラスト | あり(触れた相手を麻痺させる生体電気) | なし |
| カモフラージュ | あり(服ごと透明化) | なし |
| 壁面吸着・怪力・スパイダーセンス | あり | あり |
| ウェブシューター | 装置を使用 | 装置を使用(自作) |
| 得意分野 | 電撃と透明化を絡めた奇襲・ステルス | 科学知識とガジェットを駆使した総合戦闘 |
| 経験値 | ヒーロー歴が浅く、成長途上 | ベテラン。指導者的な立場になることも |
| スーツの色 | 黒地に赤のライン | 赤と青が基調 |
能力の違い:マイルズは「無効化」、ピーターは「対応力」
ヴェノムブラストもカモフラージュも、突き詰めれば「相手の行動を止める」「そもそも見つからない」ための力です。マイルズは接敵する前に数を減らし、正面衝突を避けて勝てるタイプ。
対するピーターは、天才的な科学知識で状況ごとに新しいウェブや装備を作り出す「対応力」で戦うタイプです。マイルズが自前の身体能力で解決するのに対し、ピーターは頭脳とガジェットで解決する。この対比を押さえると、両者が共闘する作品も一気に読みやすくなります。
キャラクター性の違い:迷いながら進むヒーロー
ピーターが「大いなる力には大いなる責任が伴う」を体現する完成されたヒーローだとすれば、マイルズはその言葉の重さに押しつぶされそうになりながら、自分なりの答えを探している途中のヒーローです。
両親が健在で、家族との関係に悩みながらヒーローをやっている点も大きな違い。マイルズの物語は、能力バトル以上に「家族に嘘をつき続けることの苦しさ」を軸に描かれることが多くあります。
映画での登場作品|スパイダーバース3部作
映画でのマイルズは、アニメーション『スパイダーバース』シリーズの主人公です。実写のMCU作品には現時点で登場していません。
- 『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)……マイルズが力を得てスパイダーマンになるまでを描く1作目。アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞した名作で、まずここから観れば間違いありません。
- 『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023年)……多元宇宙のスパイダーマンたちが集う続編。マイルズが「スパイダーマンとしての正しさ」に真っ向から反旗を翻す展開が話題になりました。
- 『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』……3部作の完結編。全米では2027年6月の公開が予定されています。
注意点として、2作目は明確な「続き物」で物語の途中で終わります。1作目だけ観て満足するか、完結編を待つ覚悟で2作目に進むかは決めておくといいでしょう。実写シリーズも含めた鑑賞順を知りたい人は、スパイダーマンの見る順番 完全ガイドで全体像を確認してみてください。
ゲームでの登場作品|Marvel’s Spider-Manシリーズ
ゲームのマイルズは、インソムニアック・ゲームズ制作のPlayStation向けシリーズで段階的に主役へ昇格していきます。
- 『Marvel’s Spider-Man』(2018年)……主人公はピーター。マイルズは能力を得る前の少年として登場し、物語の終盤で大きな転機を迎えます。
- 『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』(2020年11月発売)……マイルズが単独主人公を務めるスピンオフ。前作から約1年後の冬のニューヨークが舞台で、ハーレムに引っ越したマイルズが巨大エネルギー企業と犯罪組織の抗争に巻き込まれます。
- 『Marvel’s Spider-Man 2』(2023年/PC版は2025年1月発売)……ピーターとマイルズのダブル主人公。場面に応じて2人を切り替えながら進行します。
ゲーム版の魅力は、ヴェノムパワーとカモフラージュが操作感そのものを変えている点にあります。電気を溜めて敵をまとめて吹き飛ばす爽快感、透明になって見張りを1人ずつ無力化していく緊張感——ピーター編とは戦い方の設計思想がはっきり違うので、同じシリーズでも別ゲームのような手応えがあります。
どれを買うか迷っている人はPS5のスパイダーマンはどれを買えばいい?3作品比較が参考になります。最新作の中身を先に知りたい場合は『Marvel’s Spider-Man 2』の解説記事もどうぞ。
原作コミックでの登場作品
コミックのマイルズは10年以上にわたって自分の単独シリーズを持ち続けている主役級キャラクターです。ざっくり流れを追うと次のようになります。
- アルティメット・ユニバース期……『アルティメット・フォールアウト』第4号(2011年)で初登場し、そのままアルティメット版スパイダーマンとして連載化
- メインユニバース移籍後……ピーターと同じ世界に移り、自身の名を冠したシリーズが継続
- チーム作品……若手ヒーローチームの結成メンバーとして活躍
- ピーターとの共演作……次元を越えて2人のスパイダーマンが顔を合わせる作品も存在
日本語で読みたい場合、入門として最適なのは『マイルス・モラレス:スパイダーマン ストレイト・アウタ・ブルックリン』です。マイルズの基本設定をコンパクトにおさらいしつつ、学生生活とヒーロー活動の両立を描いており、前提知識ゼロでも読み始められます。
なお、幼児向けアニメを含めたテレビアニメ作品にもマイルズは複数登場しています。小さな子どもと一緒に楽しみたい家庭にも入口があるのは、このキャラクターの層の厚さを示しています。
マイルズから入りたい人はどこから触れるべき?
結論としては、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)から入るのが最もハズレがありません。単体で完結しており、マイルズが力を得てヒーローになるまでを2時間弱で体験できるからです。
| あなたのタイプ | おすすめの入口 | 理由 |
|---|---|---|
| とりあえず一番いいものを観たい | 映画『スパイダーバース』(2018年) | 単体完結。マイルズの誕生譚として完成度が高い |
| PS5を持っている | ゲーム『Miles Morales』 | ボリュームが控えめで、前作未プレイでも入りやすい |
| 2人のスパイダーマンを同時に楽しみたい | ゲーム『Spider-Man 2』 | ピーターとマイルズを切り替えて遊べる |
| 原作から深掘りしたい | 『ストレイト・アウタ・ブルックリン』 | 新規読者向けに設定が整理されている |
逆に避けたほうがいいのは、いきなり『アクロス・ザ・スパイダーバース』から観ること。1作目の内容が前提になっているうえ、物語が途中で切れるため消化不良になりがちです。
まとめ
- マイルズ・モラレスはブルックリン出身の10代の少年で、ピーター・パーカーに続く2代目スパイダーマン
- 基本能力はピーターと同じだが、ヴェノムブラスト(生体電気)とカモフラージュ(透明化)という固有能力を持つ
- ヴェノムブラストの「ヴェノム」は、シンビオートのヴェノムとは無関係
- ピーターが頭脳とガジェットで戦うのに対し、マイルズは電撃と透明化を軸にした奇襲・ステルスが持ち味
- 映画は『スパイダーバース』3部作、ゲームは『Marvel’s Spider-Man』シリーズ、コミックは自身の単独シリーズが継続中
- 最初に触れるなら映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)が最適解
「初代の代わり」ではなく、能力も葛藤もまったく別物のヒーロー。それがマイルズ・モラレスというスパイダーマンです。気になった入口から、ぜひ一度触れてみてください。



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