スパイダーマンを観ていて「MJって結局どの人のこと?」と混乱した経験はないでしょうか。トビー・マグワイア版にもMJがいて、トム・ホランド版にもMJがいる。しかも間に挟まるアンドリュー・ガーフィールド版のヒロインはMJではない、という状態です。
結論から言うと、MJはもともと原作コミックのヒロイン「メリー・ジェーン・ワトソン(Mary Jane Watson)」の略称です。サム・ライミ版のMJはこのメリー・ジェーン本人ですが、MCU版のMJは「ミシェル・ジョーンズ」という愛称が同じだけの別キャラクター。さらにアメイジング版のヒロインはグウェン・ステイシーで、そもそもMJではありません。つまり3シリーズのヒロインは全員が別人です。
この記事でわかること
- MJという呼び名の正体と、原作コミックでの立ち位置
- 3実写シリーズのヒロインが誰で、誰が演じたのかの整理
- MCU版のMJがなぜ「ミシェル・ジョーンズ」という別設定になったのか
MJとは「メリー・ジェーン・ワトソン」の略称
MJの正体は、マーベル・コミックのキャラクターメリー・ジェーン・ワトソンです。ピーター・パーカーの隣家に暮らす女性で、原作では女優を志す社交的な人物として描かれます。頭文字を取った「MJ」という愛称が定着し、日本のファンの間でもそのまま使われるようになりました。
初登場は1960年代の『アメイジング・スパイダーマン』誌。長らく顔が見えない状態で引っ張られ、満を持して姿を見せたコマのセリフ「あなた、大当たりを引いたわね」は、アメコミ史でも有名な登場シーンとして語り継がれています。
ここで押さえておきたいのが、「MJ」は個人名ではなく愛称にすぎないという点です。この一点を理解しておくと、映画版の混乱はほぼ解消します。名前が同じでも中身が同じとは限らないからです。
【比較表】3シリーズのヒロインは全員別人
実写映画のスパイダーマンは大きく3つのシリーズに分かれ、それぞれヒロインが異なります。まず全体像を表で確認してください。
| シリーズ(作品) | ヒロイン名 | 演じた俳優 | 原作での位置づけ |
|---|---|---|---|
| サム・ライミ版『スパイダーマン』3部作(2002〜2007) | メリー・ジェーン・ワトソン(MJ) | キルスティン・ダンスト | 原作のMJ本人。ピーターの最重要ヒロイン |
| 『アメイジング・スパイダーマン』2部作(2012・2014) | グウェン・ステイシー | エマ・ストーン | 原作でMJより先に登場した恋人。MJではない |
| MCU版(2017〜) | ミシェル・ジョーンズ(MJ) | ゼンデイヤ | 映画オリジナルの新キャラクター。愛称のみ共通 |
つまり「MJ」と呼ばれる人物は2人いて、その2人は別キャラクター。さらに真ん中のシリーズにはMJ自体が出てこない、という構造です。歴代ピーター役の違いとあわせて把握したい方はスパイダーマン歴代俳優の紹介もどうぞ。
サム・ライミ版のMJは原作どおりのメリー・ジェーン
キルスティン・ダンストが演じたMJは、原作のメリー・ジェーン・ワトソンをそのまま映画化した存在です。ピーターの幼なじみであり隣人、そして高校時代からの憧れの相手。卒業後は舞台女優を目指すという設定も原作を踏襲しています。
3部作を通して、彼女はピーターの「正体を知らないまま巻き込まれる側」から「秘密を共有する相手」へと移っていきます。1作目ではハリー・オズボーンと交際し、2作目では別の男性と婚約寸前まで進み、最終的にピーターのもとへ戻る。この揺れ動きは、ヒーローの正体を隠されたまま関係を続けることの難しさを描くための構造でもあります。
雨のなかの逆さまキスに代表されるように、ライミ版のMJは「守られるヒロイン」としての性格が強い役どころです。橋の上や高所からの落下、悪役による人質など、クライマックスで危機に陥る展開が繰り返され、その救出がピーターの葛藤を映す鏡として機能していました。2002年版『スパイダーマン』の解説記事でも、この関係性がシリーズの土台になっていることに触れています。
アメイジング版のヒロインはグウェン・ステイシー
アンドリュー・ガーフィールド主演の『アメイジング・スパイダーマン』シリーズに、MJは登場しません。ヒロインはエマ・ストーン演じるグウェン・ステイシーです。ここを「MJだと思っていた」という取り違えが、混乱のもう一つの原因になっています。
グウェンはニューヨーク市警の警部を父に持つ優等生で、オズコープでインターンとして働く理系の学生。ピーターの正体を早い段階で知り、科学知識を使って戦いに加勢する場面もあります。ライミ版のMJが「救われる側」だったのに対し、グウェンは自ら動いて事態に関与する立場に置かれているのが大きな違いです。
そしてグウェンは、原作コミックにおいてMJより先にピーターの恋人となった人物でもあります。1973年の『アメイジング・スパイダーマン』誌でグリーン・ゴブリンとの戦いの最中に命を落とし、この「グウェン・ステイシーの死」はアメコミの時代を変えた事件として知られています。彼女を失ったあと、ピーターを支える存在として比重を増していったのがMJでした。『アメイジング・スパイダーマン』の解説記事もあわせて読むと、シリーズ全体での位置づけが掴みやすくなります。
MCU版のMJは「ミシェル・ジョーンズ」という別キャラクター
ゼンデイヤが演じるMCU版のMJは、名前をミシェル・ジョーンズといいます。メリー・ジェーンの略ではなく、ミシェル・ジョーンズの頭文字を取った愛称としてのMJです。設定上も原作のメリー・ジェーンとは別人であり、映画のために新しく作られたオリジナルキャラクターにあたります。
『スパイダーマン:ホームカミング』では、学力コンテストチームに所属するミッドタウン高校のクラスメイトとして登場。皮肉の効いた物言いをする、周囲と距離を取った観察者タイプの人物です。この時点では脇役に近い扱いで、ラストシーンで自ら「友達はみんな私をMJって呼ぶ」と名乗ったことが、原作ファンをざわつかせました。
続く『ファー・フロム・ホーム』でヒロインへ昇格し、ピーターの正体にも自力で気づきます。そして『ノー・ウェイ・ホーム』では、ジェイムソンの報道によってフルネームが「ミシェル・ジョーンズ=ワトソン」であることが明かされました。原作の「ワトソン」がここで初めて接続されたわけですが、それでもキャラクター造形そのものはメリー・ジェーンとは別物です。同作の詳細は『ノー・ウェイ・ホーム』の解説記事で整理しています。
なぜ「メリー・ジェーン」にしなかったのか
理由は大きく2つあると考えられます。
1つは、比較を避けるためです。ライミ版のMJは公開から15年が経ってもなお強い印象を残しており、同じ名前で新しいMJを出せば、どうしても前作の再演として受け取られてしまいます。名前を変えることで、キャラクターを一から作り直す自由が生まれます。
もう1つは、MCU版ピーターの物語構造に合わせるためです。MCUのピーターは高校生としてスタートし、アイアンマンの庇護のもとで成長していく設定でした。原作のメリー・ジェーンが持つ「大人びた社交的な女優志望」という属性は、この座組みには噛み合いません。実際にMCU版MJは学業に強い高校生として設計され、ピーターと対等に議論できる相手として機能しています。
そのうえで愛称の「MJ」と、最終的な「ワトソン」の姓だけは原作へのつながりとして残す。この折衷が、MCU版のヒロイン設計の狙いだったと見るのが自然です。
原作コミックでのMJはピーターが結婚した相手
原作コミックにおけるMJは、数あるヒロインのなかでも別格の位置にあります。グウェンの死後にピーターを支え、やがて1987年の『アメイジング・スパイダーマン』アニュアル21号で正式に結婚。以後およそ20年にわたって、ピーターの妻として物語に登場し続けました。
MJが単なる恋人役に留まらないのは、彼女が早い段階でピーターの正体を知り、それを受け入れたうえで隣に立ち続けた点にあります。ヒーローの伴侶であることの重圧、いつ帰らないかわからない相手を待つ生活。そうした部分まで描かれたことで、彼女はスパイダーマンという作品の重要な柱になりました。
ただし2007年の「ワン・モア・デイ」という展開で、悪魔メフィストとの取引によってこの結婚は世界の歴史ごとなかったことにされます。ファンの間で長く議論が続く改変ですが、逆に言えばそれだけMJとの結婚が作品の根幹を成していた証拠でもあります。
近年ではゲーム『Marvel’s Spider-Man』シリーズで、デイリー・ビューグルの記者として自ら取材に踏み込むMJが描かれるなど、解釈は媒体ごとに更新され続けています。
MJとグウェンの違いを一言で整理すると
2人を混同しないために、役割の違いを押さえておきましょう。
MJとグウェンの役割の違い
- グウェン・ステイシー:原作でMJより先にピーターの恋人になった人物。理系の優等生で、その死がピーターの転機になる
- メリー・ジェーン・ワトソン:グウェンの死後に比重を増し、最終的にピーターと結婚する最重要ヒロイン
- 実写では順番が逆転し、ライミ版がMJ、アメイジング版がグウェンを採用した
原作の時系列では「グウェン→MJ」ですが、実写映画では先にMJのシリーズが作られ、後からグウェンのシリーズが作られました。この順序の入れ替わりも、初めて観る人が混乱しやすい要因の一つです。3シリーズをどの順番で観ればいいか迷っている方はスパイダーマンの見る順番 完全ガイドを参考にしてください。
まとめ
- MJは原作コミックのヒロイン「メリー・ジェーン・ワトソン」の略称で、個人名ではなく愛称
- サム・ライミ版のMJ(キルスティン・ダンスト)は、原作のメリー・ジェーン本人
- MCU版のMJ(ゼンデイヤ)は「ミシェル・ジョーンズ」で、愛称が同じだけの別キャラクター
- 『ノー・ウェイ・ホーム』でフルネームが「ミシェル・ジョーンズ=ワトソン」と判明したが、造形は原作MJとは別物
- アメイジング版のヒロインはグウェン・ステイシー(エマ・ストーン)で、MJは登場しない
- 原作ではグウェンの死後にMJの比重が増し、1987年にピーターと結婚。2007年の「ワン・モア・デイ」でその結婚は消滅した
「MJが2人いる」のではなく「MJという愛称を持つ別人が2人いる」。この整理さえできていれば、どのシリーズから観てもヒロイン周りで迷うことはなくなるはずです。



コメント