映画やゲーム、グッズ売り場でふと目にする「黒いスパイダーマン」。赤と青のいつものスパイダーマンとは明らかに違うけれど、あれは一体誰なのか——調べようとして、さらに混乱した人は多いはずです。
混乱する理由はハッキリしています。「黒いスパイダーマン」と呼ばれるものは1つではなく、まったく別の3つの存在を指しているからです。具体的には、黒いスーツを着たピーター・パーカー、2代目スパイダーマンのマイルズ・モラレス、そしてヴェノムの3つ。この3つを切り分けるだけで、疑問のほとんどは解消します。
この記事でわかること
- 「黒いスパイダーマン」が指す3つの存在とその違い
- もっとも一般的に「ブラックスパイダーマン」と呼ばれるのはどれか
- 見た目・作品名から目の前の黒いスパイダーマンを見分ける方法
結論|「黒いスパイダーマン」には3つの意味がある
まず全体像を押さえてしまいましょう。黒いスパイダーマンと呼ばれる存在は、以下の3つに整理できます。
| 呼ばれ方 | 正体 | 中身は誰か | 代表作 |
|---|---|---|---|
| ブラックスーツ (ブラックスパイダーマン) |
シンビオートという地球外生命体をスーツとして着た状態 | ピーター・パーカー | 映画『スパイダーマン3』 |
| マイルズ・モラレス | ピーターとは別人の2代目スパイダーマン | マイルズ・モラレス | 映画『スパイダーバース』シリーズ |
| ヴェノム | スパイダーマンが捨てたシンビオートが別人に寄生した姿 | エディ・ブロックなど | 映画『ヴェノム』シリーズ |
ポイントは、3つのうち2つ(ブラックスーツとヴェノム)は同じ「シンビオート」という生命体でつながっているのに対し、マイルズだけはまったく無関係だということです。マイルズは単に「スーツの配色が黒基調のスパイダーマン」であって、黒い生命体とは何の関係もありません。
そして日本で「ブラックスパイダーマン」という言葉が使われるとき、その9割はブラックスーツ姿のピーター・パーカーを指します。以下、3つを順番に見ていきます。
①ブラックスーツのピーター・パーカー|これが「ブラックスパイダーマン」の本命
「ブラックスパイダーマン」という呼び名がもっとも定着しているのが、黒いスーツを着たピーター・パーカーです。中身はいつものスパイダーマン本人であり、別のヒーローに交代したわけではありません。
黒いのは「布のコスチューム」ではなく生き物
最大の特徴は、あの黒いスーツが衣服ではなく、シンビオートと呼ばれる地球外の寄生生命体そのものだという点です。原作コミックでは1984年の『シークレット・ウォーズ』でピーターが異星で入手し、以降シリーズを代表するデザインになりました。
シンビオートは宿主の身体能力を大幅に引き上げ、糸も無限に供給してくれる高性能スーツとして機能します。しかしその代償として、宿主の攻撃性・怒り・独占欲といった負の感情を増幅させます。ピーターは自分の人格が変わっていくことに恐怖を感じ、最終的にスーツを脱ぎ捨てました。
この「強くなるが人格が壊れていく」という副作用こそがブラックスーツ最大の見どころです。スーツそのものの性能や歴代デザインの中での位置づけについては、スパイダーマンのスーツ歴代まとめで詳しく整理しています。
映画で観るなら『スパイダーマン3』
実写映画でブラックスーツ姿がしっかり描かれたのは、2007年公開のサム・ライミ監督版『スパイダーマン3』(主演トビー・マグワイア)です。隕石とともに地球へ落ちてきた黒い物体がピーターに取り憑き、彼は自信過剰で攻撃的な人格へと変貌していきます。
髪を下ろして黒い服を着たピーターが街を闊歩するシーンは、良くも悪くも語り草になっている場面です。作品全体のストーリーや評価が分かれる理由については、映画『スパイダーマン3』の解説記事にまとめてあります。
なお、トム・ホランド主演のMCU版スパイダーマンでは、ブラックスーツ姿は本格的には描かれていません。「黒いスパイダーマンの映画が観たい」という目的なら、まず『スパイダーマン3』を選ぶのが確実です。ゲームで体験したい場合は『Marvel’s Spider-Man 2』でシンビオートスーツのピーターを操作できます。
②マイルズ・モラレス|黒人の2代目スパイダーマン
2つ目はマイルズ・モラレス。こちらは「黒いスーツを着たピーター」ではなく、ピーターとは完全に別人の、2代目スパイダーマンです。
マイルズはアフリカ系の父とプエルトリコ系の母を持つ10代の少年で、原作コミックでは2011年に登場しました。ピーター・パーカーが亡くなった世界で、彼の跡を継ぐ形でスパイダーマンになったキャラクターです。
彼のスーツは黒をベースに赤いラインとクモのマークが入ったデザイン。そのため「黒いスパイダーマン」「黒人スパイダーマン」と呼ばれることがありますが、シンビオートやヴェノムとは一切関係がありません。ここが最も誤解されやすいポイントです。
また、マイルズは体を透明化させる「カモフラージュ」と、電撃を放つ「ベノム・ブラスト」というピーターにはない固有能力を持っています。日本では映画『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズの主人公として広く知られました。生い立ちや能力の詳細は、マイルズ・モラレス版スパイダーマンの解説記事をご覧ください。
紛らわしい豆知識
マイルズの能力名「ベノム・ブラスト」は、ヴェノム(Venom)と同じ綴りです。しかしこれは「毒」を意味する一般名詞であって、あの黒い怪物のヴェノムとは無関係。名前が似ているだけで混同されがちな部分です。
③ヴェノム|スパイダーマンが捨てた黒いスーツの成れの果て
3つ目はヴェノムです。厳密にはスパイダーマンではありませんが、姿かたちが「巨大な黒いスパイダーマン」に見えるため、黒いスパイダーマンとして認識されることがあります。
ヴェノムの正体は、ピーターが脱ぎ捨てたあのシンビオートが、別の人間に寄生して生まれた存在です。原作では、スパイダーマンを逆恨みしていた記者エディ・ブロックと結合し、1988年にヴェノムとして誕生しました。
つまり①のブラックスーツと③のヴェノムは、同じ生命体の「前」と「後」という関係にあります。ブラックスーツ時代はピーターの体に取り憑いていたものが、拒絶された後に別の宿主を得た姿がヴェノム——この流れさえ掴めば、両者の関係で迷うことはありません。
見た目上は、白いクモのマークが胸に大きく描かれている点がブラックスーツと共通しています。ただしヴェノムは体格が二回りほど巨大で、鋭い牙と長い舌を持つ怪物的な造形になっているため、実際に並べれば見間違えることはまずありません。両者のつながりをもっと詳しく追いたい方は、ヴェノムとスパイダーマンの関係を整理した記事が参考になります。
目の前の「黒いスパイダーマン」を見分ける3つのチェックポイント
実際に画像やグッズを前にしたとき、どれなのかを判別する方法をまとめます。見るべきは「クモのマークの色」「体格」「どの作品か」の3点です。
| チェック項目 | ブラックスーツ | マイルズ | ヴェノム |
|---|---|---|---|
| 胸のクモのマーク | 白・大きい | 赤・小さめ | 白・非常に大きい |
| 体格 | 通常のスパイダーマンと同じ | やや細身の少年体型 | 筋骨隆々の巨体 |
| 顔まわり | 白い目のマスク | 白い目のマスク(赤のフチ) | 牙と長い舌がむき出し |
| 作品 | 『スパイダーマン3』 | 『スパイダーバース』シリーズ | 『ヴェノム』シリーズ |
迷ったときはまず「牙があるか」を見てください。牙と舌が出ていれば確実にヴェノムです。牙がなく人間サイズなら、クモのマークが白ならブラックスーツのピーター、赤ならマイルズ——この順番で判定すれば、ほぼ間違えることはありません。
よくある疑問
ブラックスパイダーマンは赤いスパイダーマンより強い?
単純な戦闘力ではブラックスーツのほうが上です。シンビオートによって筋力・敏捷性が底上げされ、糸切れの心配もなくなります。ただし宿主の精神を蝕むという致命的な欠点があり、ピーター自身が「強さと引き換えに自分を失う」と判断して手放しました。
マイルズがブラックスーツを着ることはある?
マイルズの基本スーツは彼自身のデザインであり、シンビオート由来ではありません。原作やゲームでは別バリエーションのスーツをまとう展開もありますが、「黒基調のマイルズ=ブラックスーツ」ではないと覚えておけば十分です。
結局どれを「ブラックスパイダーマン」と呼ぶのが正しい?
一般的な用法としてはブラックスーツを着たピーター・パーカーを指すのが最も適切です。マイルズは「マイルズ」、ヴェノムは「ヴェノム」と固有名で呼ぶほうが誤解を招きません。
まとめ
- 「黒いスパイダーマン」はブラックスーツのピーター/マイルズ・モラレス/ヴェノムの3つを指す
- 一般に「ブラックスパイダーマン」と呼ばれるのは、シンビオートを着たピーター・パーカー
- ブラックスーツは能力を高める代わりに宿主の人格を凶暴化させる
- ヴェノムは、ピーターが捨てたシンビオートが別人に寄生した姿
- マイルズは黒基調のスーツだが、シンビオートとは無関係の2代目スパイダーマン
- 見分けるコツは「牙の有無」→「クモのマークの色」の順で確認すること
3つの違いさえ頭に入れておけば、映画でもグッズ売り場でも「これはどっちの黒だ?」と迷うことはなくなります。それぞれの詳細が気になったら、各解説記事から掘り下げてみてください。



コメント